【現代の名工】が継承する節句の話

日本創生神話と酒器の種類 -七段飾りを読み解く5-

日本創生神話と酒器の種類 -七段飾りを読み解く5-

酒器

日本創生神話にある男女の神にまつわるお話しで、どのように二人が出会い、命が生まれたのかというお話しをご存知でしょうか。

天の御柱の周りを男神が左廻り、女神が右廻りをして出会い、美斗(みと)のまぐあいがあり日本が誕生したという日本創世の神話。これに倣い、ひな壇では左の瓶子(へいし:お酒を入れる壺型の焼き物)に雄蝶、右の瓶子に雌蝶の蝶花形(ちょうはながた)を飾ります。

 

この男女の二神に供えられた神酒は、まず雌蝶の瓶子から提子(ひさげ:注ぎ口のある金属製の器)に移し、次に雄蝶の瓶子の神酒をその上に注ぎます。さらに提子の神酒は、長柄(ながえ)の銚子(ちょうし:酒を移し入れる時に使う器)に移され、盃に注ぎます。神社で行われる神道式の結婚式では、今も見かけることの多い手順だと思います。

酒器

提子(ひさげ)には雌蝶、銚子(ちょうし)には雄喋の蝶花形が飾り付けられますが、この二つと左右の瓶子(へいし)一対を合わせて四丁(しちょう)になるのを忌み嫌い、菱飾りがつく形式もあります。今もそうですが、昔も四の字は「死」を連想させるため避けられたのです。

 

このように男女の二神にまつわる神酒の器は、二神が出会うことで命が生まれたという神話にあやかったものなのです。つまり婚礼の儀は、次の世代の誕生を祈ることでもあるのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です